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高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、原子炉容器内にある炉内中継装置(長さ12メートル、直径46センチ、重さ3・3トン)を誤って落として抜けなくなった問題で、日本原子力研究開発機構は9日、装置内部からのカメラ撮影で変形を確認し、「通常の方法では引き抜けない」と発表した。
装置を取り出すには、原子炉容器の上ぶたに固定された装置の外枠ごと外す必要があるほか、付着したナトリウムが空気に触れて燃焼するのを防ぐ新たな設備も求められ、試運転再開のめどは立っていない。
炉内中継装置は、炉心燃料の交換時に燃料を仮置きするもんじゅ特有の装置。内部管を外部管で覆う二重構造になっており、それぞれに管を長くする接合部がある。炉内はナトリウムとアルゴンガスで覆われており、装置は上ぶたにある直径46・5センチの穴から出し入れすることになっている。
原子力機構が装置内に反射鏡を入れ、内部管をカメラ撮影したところ、本来5~7ミリある接合部のすき間が、落下の衝撃で14・5ミリに広がっていた。推定では、内部管が下にずれたことで外部管の接合部が変形。外側にゆがみが生じ、引き抜く際に上ぶたの穴に引っ掛かったとみられる。復旧には、上ぶたに固定された装置の外枠ごと引き抜く方法を検討している。
原子力機構は同日、原子炉等規制法に基づき、経済産業省原子力安全・保安院に確認結果を報告した。法令対象のトラブルは今年5月の運転再開後初めてで、1995年のナトリウム漏れ事故後では、08年の排気ダクト腐食に続いて5回目となる。
同機構はこれまで、出力40%まで上げる試験開始時期を約1カ月半遅らせ、来年7月以降としてきたが、大幅に遅れる見込み。【酒造唯】
原子炉容器内に落とした炉内中継装置の変形が初めてカメラで確認された9日、日本原子力研究開発機構の関係者は敦賀市役所で記者会見し、「影響を少なくしたい」と繰り返した。
中継装置が引き抜けない状態になっていることは10月13日の段階で判明しており、荒井眞伸経営企画部次長は「今回の結果は予測の範囲内だった」と述べた。変形部分については、月内にも原子炉容器の上ぶたにある別の穴からカメラを差し込んで観察する予定だ。しかし、原子炉内部はアルゴンガスなどで覆われており、機構側は「きちんと見えるかどうかは、やってみないと分からない」という。
外枠ごと装置を引き抜く方法についても「加熱して穴を広げたり、より強い力をかけて引き抜くなど別の方法もある。検討中の段階で見通しは示せない」と繰り返した。
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