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「二酸化炭素(CO2)の削減効果は年間400万トン」。政府がそううたって2009年5月から進め、家電の買い替えを促した家電エコポイント制度。その根拠となったCO2削減予測値の算出方法が、実態とかけ離れたものだったことが分かった。算出に関する資料の廃棄が昨夏判明し、環境省が当時の担当者に聞き取り調査する中で明らかになった。
家電エコポイント制度は、省エネ性能の高いエアコンと冷蔵庫、地上デジタル対応テレビが対象。対象品の購入で、商品券や地域特産品などと交換できるポイントがもらえる。1点は1円相当。2011年3月までに約7千億円の税金が使われる見込みだ。
環境省は制度開始の際、家電1台あたりの消費電力の削減率は50~60%に達すると試算。エアコン131万トン、冷蔵庫130万トン、テレビ104万トンの計365万トンを「100万トン単位になるよう四捨五入」(担当者)し、「400万トン削減」をうたった。
しかし昨年3月に同省が実際の販売データに基づき行った試算では、削減率はエアコン23%、冷蔵庫46%、テレビ14%。削減総量も69万トンと当初予測の約6分の1だった。
数値のずれは、買い替え対象商品をすべて1995年製と設定したのが一因だ。
内閣府のデータでは、09年3月時点での一般世帯の平均使用年数は、エアコンが10.3年、電気冷蔵庫は9.9年、カラーテレビは9.2年。この値からすると、買い替え前の家電製品は95年製より新しく、エネルギー効率のよいものが多いことになる。
さらに、すべて同じ大きさのものへの買い替えになると想定し、大型化という「増エネ」要因を考えなかった。テレビでは、32型から32型への買い替えが前提。しかし電子情報技術産業協会の統計では、算出に使われた95年時点で「30型以上」のカラーテレビは全体の4.6%。ほとんどは30型未満だ。一方、エコポイント事務局の統計では、昨年12月までにエコポイント制度で買われたテレビの36%が37型以上だった。
また、テレビの場合、買い替えではなく、2台目を新しく買う「増エネ」行動も全く起きない想定だった。
こうして算出された「400万トン」が財務省との折衝や国会説明など各所で使われる一方、環境省の担当者はその削減量をどう試算したかを記した資料は廃棄していた。
環境省は廃棄に気づいた昨年7月から、内容について当時の担当者に複数回、聞き取り調査を実施。その結果明らかになった試算について「95年製を前提にした理由は不明。単一サイズしか考えなかったり、買い増しを想定しなかったり精密な計算ではなかった」としている。今年1月からは、古い家電の廃棄とセットでなければポイントがもらえないよう制度を変えた。(赤井陽介)
家電エコポイントの前提になる、CO2削減の試算が、あきれるほどのずさんさだったことが分かった。
400万トンのつもりが、実際は69万トンにしかならないというのだから、お話にならない。
それに、買い換えられた大量の旧型家電の廃棄においても、それなりのCO2が発生するだろう。
だとすれば、このたびの家電エコポイント制度は、CO2削減とは名ばかりで、その実態は家電業界への補助金だったと言った方がいいのではないだろうか。
実際、家電各社は4~12月期連結決算で、軒並み大幅増益となっている。
政府はこういう時こそ、法人税をしっかり取ればいいのだ。
そうすれば、税収も増えて、公約した政策の実現につながるのだ。
税収が苦しいと言って、法人税を減税しながら消費税を上げるなど、とんでもないことだ。
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